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橋本ゼミ インタビュー課題 2011年度前期

中川千裕

 


 

・概要

 ではまず概要ですが、私はフットサルチームのエスポラーダ北海道さんにインタビューに行きました。対応してくださったのは監督の小野寺隆彦さんです。78日の16時半から約1時間お話を伺うことができました。場所は中央区北1条西4丁目の札幌ノースプラザ6階の「レオック」内です。レオックはフードサービス業務を行っている会社で、エスポラーダは別の企業ですが、レオックがスポンサー業務を行っているということで、レオックのフロア内にエスポラーダのブースがありました。インタビューに行ったのは私と金田君と高畠君です。

 

 

・エスポラーダ北海道について@

 最初にエスポラーダ北海道について紹介したいと思います。エスポラーダは北海道札幌市を本拠地とするフットサルチームです。お話を伺った小野寺さんを中心にして20081月に北海道初のフットサルチームとして創設されました。翌年の2009年にはFリーグに加入して今期で3年目になります。

ホームスタジアムは北海きたえーるで、毎日の練習もきたえーるを中心に行っています。その他にもホームの時には札幌以外の地域でも(美香保体育館、旭川大雪アリーナ、小樽市総合体育館、苫小牧市総合体育館、湿原の風アリーナ釧路)試合を行っているため、より多くの道民に試合を見てもらえる機会があると思います。主なスポンサーはローソンや北海道銀行、コープさっぽろやエンパイアーなど北海道の企業が中心になっています。

 

 

Fリーグについて

 Fリーグを初めて聞いたという方もいるかもしれないのでFリーグについての説明をします。Fリーグは2007年に日本フットサル連盟によって設立されたフットサルの全国リーグです。ちなみにフットサルがFIFAに認められた競技となったのは1998年でした。

設立当初は8チームしかありませんでしたが、2009年にエスポラーダ含む2チームが参入したことで現在は、北海道、花巻、浦安、町田、府中、湘南、名古屋、大阪、神戸、大分の計10チームがあります。プロのチームは少なくほとんどがアマチュアです。唯一名古屋だけは完全にプロ化していて、選手で生活していけるぐらいだそうです。しかし神戸や大阪など西日本のチームは環境面など実質的にプロ化されているチームがほとんどだそうです。

この図はFリーグが設立されてからのシーズン成績です。2位以下は多少変わっていますが名古屋は1位を維持し続けていて、まさに最強のチームといえます。また名古屋は今年開かれたAFCアジア選手権で優勝し、アジア1位にもなっています。アジア1位という快挙を成し遂げたにも関わらず、そのニュースはほとんど流されずその知名度の低さを痛感したと小野寺さんはおっしゃっていました。

 

 

・エスポラーダ北海道についてA

 ではエスポラーダさんの紹介に戻ります。先ほど色々な場所でホームゲームをしたり北海道の企業がスポンサーと説明しましたが、エスポラーダは北海道を大事にしようという姿勢が大変強いチームです。

チームスローガンは「道産子の夢をのせて」で道民に愛され、道産子の目標となるような選手、クラブ作りを目指しています。そのため北海道出身の選手を中心にしたチーム作りをしていて、実はこれはとても珍しいことだそうです。活動当初の2009年には指針として、北海道出身の選手だけでのチーム編成をうたっていて、これは世界にも類をみないことだそうです。また現在他のFリーグのチームはどこも、選手の半分以上が他の地域出身者です。その中でもエスポラーダは特異な存在であるということができると思います。

エスポラーダというチーム名も道民からの公募ですし、このオフィシャルキャラクターのリスポもデザインは全道の小中学生から、リスポという名前は道民からの公募で決定しています。

またエスポラーダはプロではなくアマチュアのチームです。そのため全員働きながらもしくは学生の場合なら学校に通いながら毎日の練習や試合にのぞまなければいけません。

練習は大体21時から行われます。また2009年次は10チーム中4位、そして昨年の2010年次は7位という成績ということで、他チームがほぼプロ化している中で健闘していることが分かると思います。

また地域活動も積極的に行っていて、そのひとつに「げんきっく」というものがあります。これは実際にエスポラーダの選手、監督、スタッフが幼稚園や小学校などに訪問して、フットサルの楽しさやスポーツの意義などをフットサルを通じて伝えていこうというものです。その他にも親子を対象にしたフットサル教室も開催しています。

 

 

・主な質問内容

 では次にこれは当日小野寺さんにした主な質問内容をまとめたものです。

 

        フットサルの魅力とは

        監督はなぜフットサルを始めたのか

        運営するようになったきっかけ

        スポーツビジネスの魅力とは

        具体的な仕事内容

        運営に携わっているスタッフの数

        運営で日ハムを参考にする点はあるか

        ファンに支持されるために心がけていること

        スポンサーを集めるときに意識していること

        チームの雰囲気

        若手の育成で力を入れている点

        選手のモチベーションを上げるために行っていること

        監督のこれからの目標

        今期の目標

 

今までの内容の中で説明してしまったものもありますが、この質問内容を踏襲しつつ太字の質問を中心に、小野寺さんにインタビューして分かったことをまとめていきたいと思います。

 

 

・フットサルの魅力とは

 フットサルの魅力は何だと思いますか、という質問対してサッカーと比べてスピード感があるということで、本当に攻守が早いのでプレーしているほうもプレーを見ている方どちらも楽しめる競技だとおっしゃっていました。またフットサルは攻めと守りを明確に決めるのではなく皆が攻めて皆が守るのでボールが一人に回ってくる時間も長くなります。そのためたくさんボールを持てるのでフットサル自体の楽しさを理解しやすいそうです。また広い意味でフットボールを身につけるのに最適であるということも魅力のひとつだそうです。

 

 

・フットサルと北海道との関係

 実は北海道はフットサルの競技人口が1位だそうです。というのも北海道では冬にサッカーの代わりに室内でできる、フットサルの前身と言うこともできる「サロンフットボール」が元々あったため、1998年にFIFAでフットサルが認められてからもその流れで北海道民は自然に取り組んでいったからだそうです。

それなら北海道にはいい選手がたくさんいるのではないかと思うかもしれませんが、実情は違うようです。というのも北海道民は気候の関係で夏はサッカー、冬はフットサルという習慣が根付いているので、わざわざフットサルの専門性を追求する必要がなくなるそうです。一方他の地域は気候の縛りもないので1年中サッカーならサッカー、フットサルならフットサルとどちらかを選択してプレーし続けることができるので、その専門性を追求することが出来ます。このように他の地域はフットサルを専門的にやり始めているので上手な選手はもしかしたら他の地域の方が多いのでは、とおっしゃっていました。

 

 

・スポーツビジネスの魅力とは

 スポーツビジネスの魅力とは何だと思いますか、という質問です。これに対して小野寺さんはまず、自分自身の夢を追い続けることが出来ることだとおっしゃっていました。実はFリーグが設立された2007年に小野寺さんはFリーグ加入審査を受けたそうです。(小野寺さんが北海道出身ということもあって、道産子の若い世代をステージに上げたい、という思いからFリーグ参入を目標にしてきたそうです。)しかしその当時はチームもスポンサーもまだ存在しない状態であったため、資金面等の困難さを指摘され、落選してしまったという過去があります。しかしそれであきらめるのではなく、地道な活動を続けていくことで現在のエスポラーダを作ることが出来たそうです。そして落選から2年後に夢が叶い、Fリーグに加入することが出来ました。そこから今度は新たな夢、目標に向かって活動し続けられています。小野寺さんの仕事内容として、運営に関わっているスタッフが6人と限られているため、監督業務の他に、兼務として営業回りや資料作りなど幅広い業務で大変ですが、この現状を幸せに思わなければ罰が当たるとおっしゃっていました。

そして2つ目に、子どもたちにプレーを通して夢を与えることが出来るところだとおっしゃっていました。現実を見ることも大事ですが、「自分はこうなりたい」というビジョンを持ち続けることも大事です。そのきっかけとして子どもが選手のプレーを間近でみることは、その選手に憧れや目標の念を抱いてくれる可能性があるし、そういう存在であり続けたいとおっしゃっていました。

 

 

・ファンに支持されるために心がけていること

 ファンに支持されるために心がけていることは何ですか、という質問です。これに対して小野寺さんは一生懸命であり続けることだとおっしゃっていました。一生懸命さと勝利はどちらも大事なことではありますがエスポラーダは前者を追及しているチームだそうです。一生懸命プレーしている中で生まれるうれしい、だとか悔しいだとかいう本当の感情をファンの方に普通に見せていきたい、そうすることでファンの方もエスポラーダを応援してくれるのではないかとおっしゃっていました。

またエスポラーダはプロではありませんが、プロフェッショナルであり続けなくてはいけないともおっしゃっていました。アマチュアですがお金を払ってもらってプレーをみてもらっている以上、ファンの方にお金を出しても見る価値があったと思ってもらえるプレーをし続けることを心がけているとおっしゃっていました。

 

 

・チームの雰囲気

 チームの雰囲気はどのような感じですか、という質問に対して今季チーム結成当初からいた選手が半分以上抜けて若手の選手に切り替わったので、今までとは違う新しい雰囲気になりそうだとおっしゃっていました。年齢的に見ればチームとしては良い方向に向かっていますが、若手なので経験不足など不安材料もあるので、そこはチーム力でカバーしていきたいとおっしゃっていました。

また若手を育成する時に重視することとして、なるべく練習試合や公式戦に積極的に登用してとにかく経験を積ませるようにしていることだそうです。その際失敗が次のステップに進むための材料になると考え、失敗することを恐れずに「失敗してこい!」といって選手を送りだすようにしているそうです。

 

 

・選手のモチベーションを上げるために行っていること

 選手のモチベーションを上げるために行っていることは何ですか、という質問です。まずは選手に積極的な声がけを行っているそうです。その際に選手一人一人タイプが違うので、その性格を見て声をかけるようにしているそうです。

また悪いプレーをしたときに注意はしますが、選手を怒らないことにしているそうです。というのもプレーが上手くいったかいってないか1番分かっているのは選手本人なので、選手一人一人が自分のプレーで直すべきところ、注意すべきところをちゃんと冷静に受け止めてもらえるような手助けをしたい、とおっしゃっていました。

またこのような大変な環境の中で、監督として選手たちにモチベーション高くプレーしてもらえるようにどうすべきか、というのはこれから自分にとっての課題だとおっしゃっていました。

 

 

・これから、そして今期の目標

 これからどういうチーム作りをしていきたいか、という質問に対しては当初の方針通り、これからも道内出身の選手を中心としたチーム作りをし続けていきたいとおっしゃっていました。やはり道内に住む子どもからしてみれば道内出身の選手は等身大のヒーローとしてうつると思います。選手の中に同じ学校出身だとか同じ地域出身がいるなど、北海道民により選手を身近に感じてもらい、フットサルのことはよく分からないけれども知っている選手がいるからちょっとエスポラーダを応援しに行こうと思ってもらえるようなチームになっていきたいとおっしゃっていました。実際北海道のプロチームとして代表的な日ハムもコンサドーレも、北海道外の選手が多いです。またFリーグの他チームも地域外出身者ばかりで構成されています。だからこそ地元にこだわり続け、より地域色が強いスポーツチームとして道民の観戦欲を高めていきたいとおっしゃっていました。

インタビューの最後にずばり今季の目標を伺いました。小野寺さんはこの質問を受けた時、必ず「優勝」と答えているそうです。去年の順位である7位から1つでも順位をあげる、というのも悪いものではありませんが、やるからには王者の名古屋に勝ち、Fリーグのトップを目指し続けたいとおっしゃっていました。またそう思わないとFリーグに出る資格はないとおっしゃっていて、その語気からもシーズンにかける強い思いが伝わってきました。

 

 

・感想

 まずお話を伺うまでは小野寺さんは監督なので監督業務だけを行っていると思っていましたが、それ以外にもたくさんの業務があって正直本当に大変な仕事だと思いました。でも夢を追いかけて、その夢に向かって楽しんで仕事をしている様子が伝わってきて素敵だと思いました。

自分も小野寺さんみたいに何か夢中になれるものを見つけて、そしてそれに向かって走り続けたいと思いました。

そしてこんなに地域を大事にしてくれているチームもなかなかないので、私もその思いに答えて北海道民として応援していきたいと純粋に感じました。北海道のプロチームとして有名な日ハムとコンサドーレは大体シーズンが3月から11月ぐらいまでですが、この2チームがオフシーズンのときにもエスポラーダは試合をしています。なので道民は応援しやすい環境にあるとは思うので、これからどんどん知名度を増やしていってもっと道民から愛されるチームになってほしいと思いました。

また将来的にエスポラーダの試合を見た北海道の子どもが選手に憧れて、その子供が若手として選手になって、またその様子を見た子どもが憧れていく、というようないいループが北海道内でできてくればいいなとも思いました。